面白い人になる方法【2】~笑いを取る際のポイント~

この記事は続編である。

別に前の章を読む必要はない。

が、「イケメンはおもしろくない」という悪口みたいな内容の記事を書いているので、興味がある人は読んでみてくれ。

今回の記事は面白いことを言うための具体的なステップについてである。

なぜあなたはつまらないのか

ではまず、なぜあなたの話は面白くないのか。説明していこう。

そもそも君はこの本を見ているくらいだから、おそらく面白いことを言いたいという願望はあるのだろう。

そしておそらく面白くないのだろう。

この原因は何なのか。

私に言わせれば、そもそも君たちは「面白さ」を誤解している。

それはもう悲しいぐらいに。

君はおそらく面白いことを言おうとしているのだろう。

そしてそれが言えずに困っているのではないか?

だけど実はこの「面白いことを言う」という発想自体に大きな勘違いがある。

君は面白いことを言えば、うまいことを言えば、人は笑うと思っている。

つまり、この言葉が面白いからこの人は笑ったのだ、という順番で考えている。

違う。

まったくもって違う。

逆なんだ。

ウケたから面白いのであり、笑いが起きたから面白いのだ。

つまり、自分がどれだけ面白いと思おうが、ギャラリーが笑わなければそのボケは面白くないものなのだ。

逆に君が納得いかなかろうが相手が笑っていれば、それは面白いことなのである。

笑いとはファッションと同じく、他者から評価されるものなのである。

君はお笑い芸人の真似をしていい感じにスベっている人を見たことはないか?

そう、中学校の時の私だ。

休み時間にちゅうえいの物まねをしてクラスを何と思いえない雰囲気にしていた、中3の私だ。

あれはなぜ起きると思う?

本人は面白いと思ってやっているのだ。

テレビの中では笑いが起きていたのだ。

同じことをやった。

なぜ面白くない?

君も何となく聞いたことがあるのではないか?

よく言われる理由は「芸人さんのスペックがあってこそあのギャグは面白いんだよ」というやつだ。

もう少し噛み砕いた言い方をすると、面白いとされていることを言うことだけが笑いの起きる条件ではないということだ。

じつは、面白いと思われ笑いが起きるには3つの条件が必要なのである。

先に言ってしまおう。

  • フレーズ
  • 言い方
  • タイミング

の3つである。

詳しく説明していく。

1つめの「フレーズ」は言わずもがな、何を言うのかということだ。

中3の俺は、そして滑るやつは大体、この「フレーズ」だけで勝負しようとする。

忘れるな。

面白いことを言ったから笑いが起きたのではなく、笑いが起きたから面白いのだ。

極端な話、何を言っても面白い、果てはしゃべらなくても面白い、という状況すら存在する。

お笑いにおいては、言葉は一要素でしかないことをしっかりと理解しなければならない。

2つめは「言い方」だな。

これは言葉を話すスピード、口調、動作、そういうものをすべてひっくるめての「言い方」だ。

これは何も面白い動きをし、大声で叫べということではない。

ぼそっと言ったとしても、そこに笑いが起きることはある。

重要なのは言う内容を最大限面白くする言い方になっているかだ。

これは、「何を言うか」と同じくらい重要なことだ。

3つ目は「タイミング」 いつ言うかだ。

さっきの芸人の1発ギャグだって、面白いタイミングで放てばちゃんと笑いになる。

そして、笑いは瞬発力だ。

ことが起こった5秒後にフレーズが浮かんでも全然面白くならないのである。

いつも無意識にやっている会話の返答くらいのスピードで面白いことが言えなければ、何の意味もない。

もちろんただ早く言うだけでなく、一瞬溜めをつくったりしてもいいだろう。

これもタイミングの一種だ。

ここまで聞いて分かった人もいると思うが、笑いというのは会話の中でするものであり、当然相手がいるものである。

そのため、これをこの時に言えば絶対ウケる、なんて考えるだけ無駄なのである。

そういう意味で笑いに「正解」はない。

難しい。

俺もそう思う。

しかし、この3つの要素を意識すること、また、自分が滑った状況は何が足りなかったから起きたのか、それを考えるだけでも全然状況は変わってくる。

後は、面白い人、笑いが取れている人を観察してみるのもすごくいい。

さっき言った3つの要素含め、本当に様々な状況、要素を加味しながら、笑いをとっていることがわかるはずだ。

では3つの要素の練習方法、何を意識すればいいのかについても触れていこう。

3要素を使いこなす

フレーズ

まずはフレーズ。

さんざん「言葉の内容」だけでは笑いは取れないといってはいるが、やはり言葉選びはとても重要だ。

日常で面白いと思った言葉はスマホのメモ帳に記録しておくべきだし、誰かが言った面白い言葉にもアンテナを立てておくべきだ。

まあ、覚えたフレーズがそのまま使える機会なんてほぼ無いといってもいいが、それでも、知っておけば応用がきくし、自然と似たようなフレーズが使えたりするものだ。

やはり、普段からアンテナを立てている人とそうでない人では成長速度も全く違うものだ。

まずは、人のものをまねていく。それがいつか自分の個性になっていくものだ。

あと、これはちょっと特殊な例になるが、そのまま使える長いフレーズなどは確かに存在する。

呪文や詠唱、また特徴のある人の人名や経歴などだ。

例えば、中二病を表現したいときにはとりあえず黒棺の詠唱を唱えればいいし、たとえツッコミをしたい人などは例えられる人名を増やしておくのがいいだろう。

ただ、気を付けなければいけないのは、覚えたものを使おうとしすぎないこと、当たり前の単語でもシチュエーションによっては爆笑を生むことをしっかりと意識することだ。

【余談】ボキャブラリーとは

本編とは少し離れるので軽くだけ触れることにするが、ボキャブラリーとは実は知っている単語の数ではなく、使える単語の数であるという認識もめちゃくちゃ重要だ。

例えば、みんなマチ針と聞けばあのへんな紙みたいなのが付いた針を想像できるだろう。

これはみんなが知っていることであり、みんなに共通する知識である。

つまり言われれば分かるのである。

しかし、君はこれまでの日常会話で、裁縫と関係ないジャンルの話をしているときに、マチ針という単語を使ったやつを見たことがあるだろうか?

おそらくそんな奴に出会ったことはないはずだ。

だが、性格がとがっている相手、先のとがっているものを見たときに、「マチ針くらいとがってんじゃん!」ということは本来誰にでもできるはずなのである。

マチ針という単語はみんな知っているのだから。(そんなシチュエーションねーよ、というツッコミは置いといてほしい)

だが、そもそもとがっているものを見たところで、君たちはマチ針という単語を思いつかないだろう?

そう、マチ針は知識ではあるがボキャブラリーにはない単語なのである。

そして、当然だが、ボキャブラリーにない単語はとっさに出すことなどできない。

だが、当然笑いにおいては自分の持ち駒、武器はこのボキャブラリーのほうであり、これを増やしていかない限り、自分のお笑いの幅は広がっていかない。

みんなが知っている単語で笑いをとることは、トリッキーなフレーズで笑いをとることよりも100倍重要であることを頭に入れておけ。

みんな笑いを勉強しようと思ったときに、名言や変なフレーズを目指そうとしてしまいがちだが、私は誰にでもわかる単語で笑いをとることこそがゴールだと考えている。

だからみんなには当たり前の単語を自分のボキャブラリーに入れるという作業のほうにまずは注力してもらいたい。

といってもやり方はシンプルで、実際に使ってみることだ。

最初は意識して「マチ針か!」「ガスコンロか!」「Siriか!」と叫んでみよう。

これを繰り返すうちに、考えなくてもとっさに

「急に始めて、急に終わるな!夕立か!」

というツッコミが出てくるようになるだろう。

この章では何度も言っていることだが、笑いとは会話の中で行うものであり、相手がいることなのだ。

つまり、伝わらなければ何の意味もないのである。

例えば最高のタイミング、最高の言い方で

「いや、オフェンシブファールをもらうP・Jタッカーか!!!」

とツッコんだところで、いや誰?となるのが落ちだろう。

語彙力が高いとは、誰も知らない単語を知っていることではなく、誰もが知っている単語をだれも使えないタイミングで自由自在に引き出す能力であると私は思う。

君たちにもそこを目指してほしい。

【余談2】好きなツッコミ

私が一番好きなツッコミはFUJIWARAの藤本が「クイズヘキサゴン」という番組で放ったとあるツッコミである。

「可能性は何%くらいですか?」と聞かれた他の出演者が、

「5%くらい」と答えたのに対してフジモンは、

「果汁か!」

とツッコんだのである。

これは「炭酸ジュースなどに入っている果汁くらい少ない%やな!」という意味であるが、これがまさに、ボキャブラリーなのである。

誰にでもわかる単語をだれも思いつかず、使えないタイミングで使う、私もいつかこんなツッコミをしてみたいとあこがれた一言だった。

言い方

次に言い方。

言い方に関しては説明できることは少ない。

経験を積むしかない部分ではある。

しかし、どんな言い方をするときでもほとんどの場合共通してやっておいたほうがいいポイントがある。

それは笑顔だ。

ボケるときにも、ツッコむときにも、文句を言うときにも基本的には笑顔でいい。

前の章のスキマ理論もかかわってくるところなんだが、やはり、笑ってもらう大前提として、これはお笑いなんですよ、僕の話は笑っていいんですよと、相手に伝える必要が出てくる。

特に女子相手にこちらが真顔でツッコんでしまった場合、ただ単にお前がキレてるようにとられかねない。

だからこそ、基本的にはお笑いをするときには自分自身が常に若干半笑いを維持する意識をするといい。

自分が一番楽しんでいなければ、相手も乗ってきてはくれない。

あと単純にお前らは顔が怖い。

タイミング

最後にタイミング。

これは基本的にはできるだけ早くだ。

ミスってもいいから、とりあえず反射的に面白そうなことをいう癖をつけろ。

面白いことを言えるようになりたいという君のために、一つ重要な考え方を伝えておく。

それは、お笑いはミスを減らすというスタンスではなくあたりを増やすというスタンスでやらなければいけないということだ。

正直、こんな記事を出している私でもすべてのボケを平均したら100点中高く見積もって50点といったところだろう。

3回に一回はつまらないことを言って滑っているし、90点以上のボケなんか2時間に1本出ればいいほうだ。

この平均点は正直お笑いをやり始めた人は20点くらいになると思う。

ただ、そういうものなのだ。

君の周りの面白い人をよく見てみればわかることだが、ずっと面白いことを言っているわけではない。

というか大半は面白くないことを言っているのだが、そのボケの絶対数が周りの人よりも明らかに多いだけだということに気づくはずだ。

その人はもう慣れているのだ、滑ることに。

自身のボケが軽くいなされることに。

そしてその滑りすら笑いに変える技術を身に着けただけなのだ。

やってみればわかるはずだ。「おもしろくない」という面白さもあることが。

ともかく、君に足りないのは圧倒的な量だ。

思ったことはすべていうぐらいの勢いで言いまくれ。

とはいってもいきなり大量に滑り倒すのは怖いだろうから、とりあえず自信のないボケに関しては隣の人にしか聞こえないくらいの小さな声で言うことをお勧めする。

これは私もよく使う手であり、ローリターンだがローリスク、数をこなすにはもってこいの方法だ。

とりあえず今は数、慣れてみることだ。

健闘を祈る。

まとめ

ここまで話してきてなんだが、ここまでの話の9割はどうでもいいことだ。

私がこの文章で多くを割いたのはロジックの解説、いわば公式の証明のようなものだ。

だが実際公式の証明などできなくてもその公式さえ使えれば問題ない。

つまり、どうやるかの部分さえわかれば笑いはとれるのだ。

そして、どうやるかの部分はたった2つだけ

  • 面白い人をマネする
  • とにかく量をやって慣れる

これだけである。

それ以外のことは気にしなくていい。

まずはやってみること。

これが全てである。

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