サマーウォーズにおける【甲子園】の必要性

その他

サマーウォーズって時々野球やってない?

映画サマーウォーズでは、ところどころで甲子園を目指して野球をする高校球児が描かれている。

が、とにかく影が薄い。

物語の本筋とは全く関係がない。

金曜ロードショーでは出演シーンは全カットされている。

じゃぁ、いらなくね?

そんな疑問が出てきた。

今回はサマーウォーズにおける高校野球の意味について考えていく。

野球してたの誰?

野球をしていたのは陣内了平(じんのうち りょうへい)

ヒロインの家系陣内家の1人である。

(以後サマーウォーズの主人公は主人公、ヒロインはヒロイン、陣内了平は野球少年と呼ぶ)

この野球少年は甲子園を目指し上田高校のエースピッチャーとして頑張っている。

基本的にはテレビに映った野球少年を誰かが見ながら応援している、というシーンでしか登場しない。

そのため、主人公やヒロインとの絡みは一切ない。

出演シーンは後述するが、基本的に真面目に野球をやっているだけで、お笑い要員でもない。

一見すると不必要である。

そのくせちょくちょく出てくる。

野球少年はオズとの対比

オズ(OZ)とは、本作に出てくる仮想世界の名前

本作はこのオズを中心に物事が展開されていく。

サマーウォーズにおける「対比構造」

サマーウォーズでは、明らか意図的に「対比構造」というものを多く描いている。

  • 大家族(ヒロインの家)  ⇔ 核家族(主人公)
  • 都会(主人公達の高校) ⇔ 田舎(ヒロインの実家)
  • オンライン ⇔ 現実世界
  • 最先端のAI ⇔ 伝統(花札)

どちらが良いというわけではなく、どちらも必要で、重要であるということを描いた作品なのだ。

ともかく、サマーウォーズではこのような対比構造を印象的に用いているということだ。

高校野球はオズとの対比

ここで、話は本題に戻る。

高校野球は仮想世界オズと対比されていると考えられるのである。

根拠は

甲子園だけが隔絶されすぎている

ということである。

本作の主要登場人物はほとんどがヒロインの実家に集結しており、全員がオズの問題を認識している。

一人を除いて

そう、例の野球少年だ。

野球少年には、メンタルに影響しないようにという理由でオズの問題・おばあちゃんの死などの情報はいっさい渡されていない。

ん?

物語の舞台は仮想世界オズでつながった世界である。

世界中の人と出会うことができ、この世のほとんどのことはオズを介して行われている世界の話である。

主人公たちはオズを通して世界を救っているのである。

が、野球少年にはそんなことは関係ない。

彼にとっては野球が、甲子園に出場することが最優先事項である。

  • 仮想世界オズ ⇔ 肉体(現実)の戦いである野球
  • 世界の全員と協力したオズでの戦い ⇔ 9人で戦う野球

全く逆の戦いが、同時進行で行われていたのである。

これは明らかに意図的な対比であると私は感じた。

これから私たちの現実世界もサマーウォーズの世界のようになっていくだろう。

だが、世界中とつながれること、なんでも便利にできることが全てではない。

身近な人と、実際に体を使って行うことも、依然として価値を持ち続けるだろう。

そして、主人公たちにとってはオズの戦いが、野球少年にとっては試合だったのである。

というか野球少年にとって主人公は自分であり、メインストーリーは甲子園への道である。

規模や華やかさなど関係なく、それぞれの人に、それぞれの戦いが存在する。

自分にとっての戦いをすればいいのだというメッセージが込められている気がした。

他の可能性

ここからは読まなくてよい。

私が考える最も可能性の高い考察は、上記のものである。

しかし、他にもいくつか小さい可能性や、ボツにした案なども紹介しようと思う。

ダラダラと長くなるので、読みたい人だけ読んでくれ。

小さな可能性1 【箸休め】

これは、映画のテンポをよくするために使われているという説だ。

高校野球は全3試合、準々決勝・準決勝・決勝 が描かれた。

決勝に勝ったことで甲子園出場ができたのだ。

この甲子園をかけた決勝戦は、本編のキングカズマvsラブマシーンの2回目の対決のスタートと同時にはじまる。

そして、人工衛星が落ちてすべてが片付いたときに試合終了となる。

この間、試合の流れと主人公達の戦いの流れは完全にリンクしている。

主人公側は 

vsラブマシーン勝利 → ラブマシーン巨大化で復活 → 花札で倒す → 暗号をとく

高校野球決勝は

8回裏に勝ち越し → 9回表2アウトから相手の反撃 → 延長戦に突入 → 奇跡の大逆転で勝利

簡単に言うと、主人公たちが喜んでいるときは野球側もいい調子であり、主人公たちが劣勢になっていると、野球側も劣勢になっている。

そして、本作では主人公達の戦いの途中途中にこの野球の中継も挟まっている。

映画は2時間続きのため、ずっと同じようなことが行われていると観ていて疲れる。

そのため、合間にちょっと関係のない高校野球を挟むことで見ていて飽きないようにしているのだと思う。

ついでに、ここまでの流れをまとめて高校野球で表現しているのだ。

小さい可能性2 【夏だから】

サマーウォーズはタイトル的にも夏の物語、高校野球も夏の風物詩である。

本筋が仮想世界や涼しそうな田舎で行われているのもあってイマイチ夏感がでないので、高校野球で夏の雰囲気を強調しているのだと思う。

ボツ案 【歴史のオマージュ】

サマーウォーズではなんかちょいちょい歴史のことが出てくる。

そもそもヒロインの家系陣内家は真田家の家臣で、戦国時代に頑張っていたらしい。

そして、物語の本筋では、昔の戦法を真似して使ったり、昔からの精神論で乗り切ろうとする場面もある。

この【昔の戦い】の中に、甲子園がサマーウォーズで描かれた理由があるのではないかと思った。

が、結論からいうと昔の戦いとの因果関係はまったくといっていいほどなかった

作中では、【第一次上田合戦】【第二次上田合戦】【大坂夏の陣】の3つがエピソードとして出てくる

一応全体の流れとしては下記のようになっている。

野球と真田家の戦いの流れについて調べたが、あまり親和性は見られなかった。

まず、勝敗に関しては異なっている。

野球は全勝だが、真田家は最後に負けている。

細かい流れについても調べてみたが、特に親和性は見られなかった。

唯一関連する可能性がある事柄もあったので紹介しておく。

野球少年 = 丸子三左衛門 説

話は【真田vs徳川】の第一次上田合戦という戦いについて

つまり、味方側→真田 vs 敵側→徳川という構図

野球少年のモデルと考えられるのは丸子三左衛門

名前が難しいので以下「まる子ちゃん」と呼ぶ。

この第一次上田合戦は簡単に言うと攻めてきた徳川を真田が返り討ちにする、という流れである。

その真田側の将の1人としてまる子ちゃんは登場する。

このまる子ちゃんは真田の本拠地からちょっと南に離れたところにある城の城主だった。

そして、徳川軍は南から攻めてきた。

つまり、真っ先につぶされる対象となる位置にまる子ちゃんはいたのである。

しかし、城が小さすぎたため、徳川軍に無視される。

徳川軍はまる子ちゃん城の横の道を素通りして、そのまま真田の本拠地へと向かったのである。

残念、眼中になかった。

ところが、その後真田の本拠地で徳川軍は大敗をする。

負けて逃げ帰ろうとする徳川軍だったが、何の成果も得られませんでした!!状態ではまずい。

そのため、行くときは無視したちっちゃい城だけでも落として帰ろうとする。

そう、まる子ちゃん城が狙われたのである。

まる子ちゃん側からするとたまったもんじゃい。

かなりのピンチである。

しかし、それを聞きつけた真田の本隊が、まる子ちゃんを応援しにやってくる。

そうなると徳川軍も手出しができなくなり、まる子ちゃんの城のところでにらみ合いになった。

このにらみ合いは一か月続いたらしい。

最終的には徳川軍が家に忘れ物をしたことを思い出して帰っていったため、まる子ちゃんは助かった。

これが上田の合戦におけるまる子ちゃんの立ち回りである。

まとめると

  • まる子ちゃんは真田軍の最前線を守っていた。
  • 徳川軍が攻めてきたが、まる子ちゃん城は小さすぎて無視される。
  • 徳川軍が負ける
  • 負けた徳川軍が腹いせにまる子ちゃん城を攻撃
  • 真田の本隊が助けに来て、膠着状態に。
  • 徳川軍は家のカギを閉め忘れていたことを思い出して帰宅

という流れである

このまる子ちゃんは本隊にとは離れていた小部隊の隊長にも関わらず、敵の本隊に無視されたり狙われたりしている。

この様子が、本編と関係のないところで戦う野球少年と近いと考えたのである。

サマーウォーズ本編でも一度だけ家族全員で野球のニュースを見て喜ぶシーンがある。

そのシーンが徳川に狙われて真田が加勢に来た結果注目度が高まってしまったまる子ちゃんに重なるのである。

と、ここまで考えたがやっぱり親和性は薄く、こじつけ感がすごい。

ので、ボツになった。

野球少年を捜せ

まとめ

長くなったが、ようするに野球少年陣内了平は頑張っていたということである。

みんなも頑張れ

私は寝る。

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