気になったことはないだろうか。
システム英単語に載っている単語を全て覚えた場合、大学入試の共通テスト長文はどれくらい理解できるのか。
何パーセントの単語が分かるようになるのか。
今回はそれを実際にカウントしてみた。
システム英単語の概要と、今回の計測方法
大前提として、システム英単語(シス単)とは、大学受験におススメとされる英単語帳である。
難易度別に分かれている、短いフレーズで覚えられる、などの特徴があり、受験はシス単1つでどうにかなるという人も多い。
シス単には2,180語の単語と多義語が載っている。
今回は、これがどれくらい共通テストに出ているのかを測定する。
対象語句:参考サイトに載っている2,027語
カウント条件:
es,ed,ingなどの接尾辞が変化したものもカウントする
2,027語の簡単な派生語もカウントする
今回はシス単の英単語一覧を載せているサイトから、全単語をリストアップさせていただいた。
そのため、なぜか2,027語のみとなってしまっている点は留意されたし。
また、シス単の各語句の解説部分に載っている派生語・関連語句については、今回カウント外とした。
だが、comfortable ⇒ discomfortableなどの、元の形を覚えていれば派生語の意味も簡単に予想できるものについては元の単語にカウントしている。
検証していく問題文は2024年度共通テスト英語リーディングである。
3つの種類に分類
今回は、共通テストの全単語を以下の3種類に振り分けた。
- 基本単語
- シス単の単語
- ハイレベル単語(シス単に未登場の単語)
3種類の振り分け条件について、軽く説明する。
基本単語 – 中学単語やカタカナ英語
I,am,make,cookなどの中学までに覚えられる簡単な単語。
jungle(ジャングル)などの、簡単に分かるカタカナ英語。
そしてMr.Tanakaなどの固有名詞は基本単語としてカウントした。
シス単暗記前にすでに知っているであろう単語、というくくりだ。
シス単の単語
当たり前だが、シス単に載っている単語がここにカウントされる。
先ほど説明したとおり、ed,esなどの語尾変化や簡単な派生語はカウントしている。
ハイレベル単語 – シス単に未登場の単語
基本単語でもなく、シス単にも登場しない単語はここにカウントされる。
ここが、「シス単を暗記しても分からない単語」に該当するわけだ。
ちなみにgestures(ジェスチャー)などのカタカナ英語ではあるが初見では気づきずらい単語に関しては、このくくりにカウントしている。
【結果】基本単語88%、シス単10%、未登場単語2%
カウントの結果は以下の通りだった。
種類 | 単語数 | 割合 |
---|---|---|
基本単語 | 5,395語 | 87.6% |
シス単に載ってる単語 | 621語 | 10.1% |
未登場単語 | 141語 | 2.3% |
合計 | 6,157語 |
構成比率をグラフにすると以下になる。
ちなみに同じ単語が5回登場したらカウントは5となる。
実際に各単語を色分けしてたのが以下の画像である。
肌色⇒基本単語、緑⇒シス単、赤⇒ハイレベル単語
ここからも分かるように、文章の90%近くは基本単語で構成される。
シス単の単語は各文に1個~2個くらいあるイメージだ。
そして、2~3文に1つくらい、基本単語でもシス単の単語でもない難しい単語(ハイレベル単語)が出てくる。
後半の長文ではハイレベル単語が増える
次は、大問ごとの違いについて説明していく。
共通テストは大問1~6に大まかに分かれており、各大問に1,2個の長文が入っている。
大問1~2は比較的カンタンな問題であり、大問6などはス飛ばす人もいるくらい難しい長文だ。
大問1と大問6の長文におけるシス単語・シス単未登場語の比較は以下の画像でみると分かりやすいだろう。
肌色⇒基本単語、緑⇒シス単、赤⇒ハイレベル単語
単語分類の構成を数字でも説明しておこう。
大問1は基本93%、シス単5.8%、ハイレベル1.7%
大問6は基本83%、シス単13.3%、ハイレベル3.6%
このような構成比の変化となっている。
各大問における正確な数値は本記事の下の方に最後に載せておくので、もし興味があればそちらを参考にしてくれ。
大問6になると、13%もがシス単の単語になるため、中学単語だけではどうにもならない。
しかも、ハイレベル単語(シス単にない単語)も1~2文に1個のペースで出てくるため、読解はかなり難しいのだ。
まとめ – 基本単語とシス単で98%はカバーできる
おさらいだが、基本単語は全体の87.6%、シス単掲載単語は10.1%である。
これを合わせると実に97.7%もの単語が理解できることになる。
ただし、これは中学単語を100%覚え、カタカナ英語を100%で気づき、シス単を100%暗記していればの話である。
そんなことが出来てる人は東大合格者でもごく一部、いやほとんどいないだろう。
みんな70%~90%の理解度でテストに挑む。
この割合を上げていくことが長文の理解度に直結することは、データより明らかだろう。
本記事の本編は以上となる。
以下に集めたデータ全貌、および各分類の判断基準などをのせておく。
実際に出題されたカタカナ英語やシス単未掲載の単語なども書いておく。
何かの例やデータとして用いる場合は参考にしてくれ。
元の解析データはExcelファイルだが、必要であれば提供するので問合せフォームに連絡をください。
ご指摘や文句、感想や感謝などはコメントいただけると励みになります。全部見ています。
それでは、以下付録のスタートです。
付録 – 解析データの説明
めんどくさかったーーーーーっっ!!!!
このデータ解析2週間くらいかかりました。
本当にめんどくさい。3日目にはやり始めたことを後悔し始めた。だが気になってしまった。気になったからにはやるしかない。
結果的には思い通りのデータを集めることができた。
ここではダラダラとなって申し訳ないが、データ解析にまつわる説明を一通りしようと思う。
まず、各大問別に分けた解析データは以下となる。
基本単語 | 割合 | シス単単語 | 割合 | ハイレベル単語 | 割合 | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
大問1 | 593 | 92.5% | 37 | 5.8% | 11 | 1.7% | 641 |
大問2 | 748 | 86.0% | 111 | 12.8% | 11 | 1.3% | 870 |
大問3 | 789 | 93.0% | 45 | 5.3% | 14 | 1.7% | 848 |
大問4 | 687 | 86.4% | 88 | 11.1% | 20 | 2.5% | 795 |
大問5 | 1,084 | 90.3% | 98 | 8.2% | 19 | 1.6% | 1,201 |
大問6 | 1,519 | 83.1% | 244 | 13.3% | 66 | 3.6% | 1,829 |
合計 | 5,420 | 87.6% | 623 | 10.1% | 141 | 2.3% | 6,184 |
単語数に着目して図にしてみるとこんな感じ。
大問が進むにつれて数が増えているのが分かりますね。
中身の構成比にのみ着目してみると以下の図が作れる。
データ解析ってどうやったの?
まずはデータ解析の手法について話していく。
すごくカンタンにすると以下の3ステップだ。
- シス単に載ってる単語・中学単語をリストアップ
- 共通テストの全単語をExcelに書き出す
- プログラミングを利用してExcelの単語を3種類に分類する
ここに関しては興味がある人が少ないと思うので軽く説明する。
もし詳細な解説が欲しければ記事にするので教えてほしい。
まず、大前提としてなるべくプログラミングでどうにかしたかった。すべて手動でやるのはかなり大変だからだ。
まず、シス単の単語と中学単語をリストアップする。
これも手動でやりたくなかったので、ネット上にデータとして出てるものを利用させていただいた。
詳細は後述するが、シス単の単語と中学単語単語をネットのページから拾ってExcelに貼り付けた。
続いて、共通テストに登場した全単語についてもデータ化しなければならない。
共通テストのPDFデータ自体は公式サイトに載っている。
でもそのPDFデータは文字をコピペできないデータだ。なので無料ツールを用いてコピペ可能PDFに変換した。
これでPDFから文字をコピペできるので、こちらもExcelにコピペしておく。
共通テストの全単語がこんな感じでExcelにデータ化できた。
そしたら、ExcelのVBAマクロでプログラムを書いていく。
VBAマクロってのはExcelを自動操作するプログラミングだ。
基本のプログラムはChatGPTに書いてもらい、ちょっと最後に修正すると簡単だ。
プログラミングを用いて、「基本単語、シス単単語」と「共通テストの単語」で一致したものに色をつける。
あらかじめed,s,es,ingなどのシンプルな語尾変化はプログラムに登録しておけば対応してくれる。
本当は部分一致(例:countもdiscountに含まれる)で検索したかったら、そうするとatの部分一致でattendやpatrickがカウントされてしまうので、完全一致のみで判定を行った。
実際のVBAプログラミングコード
Sub FormatAndColorCells()
Dim wsSheet1 As Worksheet, wsSheet2 As Worksheet
Dim wsSis As Worksheet, wsTarget As Worksheet
Dim cell As Range, checkCell As Range
Dim lastRowA As Long, lastRowB As Long, lastRowC As Long
Dim colorYellow As Long, colorOrange As Long
Dim colorGreen As Long, colorBlue As Long
Dim tempCellValue As String
Dim suffixes As Variant
Dim suffix As Variant
' シートの設定
Set wsSheet1 = ThisWorkbook.Sheets("Sheet1")
Set wsSheet2 = ThisWorkbook.Sheets("Sheet2")
' 色の設定
colorYellow = RGB(255, 224, 185) ' 肌色
colorOrange = RGB(255, 165, 0) ' オレンジ
colorGreen = RGB(0, 255, 0) ' 緑
colorBlue = RGB(173, 216, 230) ' 水色
' サフィックスの設定
suffixes = Array("s", "es", "ed")
' Step 1: 大文字を小文字に変換、特定の文字列を削除、肌色で塗りつぶし
For Each cell In wsSheet1.Range("A1:IU279")
tempCellValue = LCase(cell.Value) ' 大文字を小文字に変換
tempCellValue = Replace(tempCellValue, ".", "")
tempCellValue = Replace(tempCellValue, ",", "")
tempCellValue = Replace(tempCellValue, "!", "")
tempCellValue = Replace(tempCellValue, "?", "")
tempCellValue = Replace(tempCellValue, """", "")
tempCellValue = Replace(tempCellValue, "'s", "")
cell.Value = tempCellValue
' アルファベットが含まれているセルを肌色に塗りつぶす
If tempCellValue Like "*[a-z]*" Then
cell.Interior.Color = colorYellow
ElseIf Len(tempCellValue) > 0 Then
cell.Interior.ColorIndex = xlNone ' 記号のみのセルは無色
End If
Next cell
' Step 2: Sheet2のA列に一致または後ろにサフィックスをつけた場合オレンジ
lastRowA = wsSheet2.Cells(wsSheet2.Rows.Count, "A").End(xlUp).Row
For Each cell In wsSheet1.Range("A1:IU279")
For Each checkCell In wsSheet2.Range("A2:A" & lastRowA)
If cell.Value = checkCell.Value Then
cell.Interior.Color = colorOrange
Exit For
Else
For Each suffix In suffixes
If cell.Value = checkCell.Value & suffix Then
cell.Interior.Color = colorOrange
Exit For
End If
Next suffix
End If
Next checkCell
Next cell
' Sheet1をコピーして「シス単」と「ターゲット」のシートを作成
wsSheet1.Copy After:=ThisWorkbook.Sheets(ThisWorkbook.Sheets.Count)
Set wsSis = ActiveSheet
wsSis.Name = "シス単"
wsSheet1.Copy After:=ThisWorkbook.Sheets(ThisWorkbook.Sheets.Count)
Set wsTarget = ActiveSheet
wsTarget.Name = "ターゲット"
' Step 3: シス単シートで緑色のセルを設定
lastRowB = wsSheet2.Cells(wsSheet2.Rows.Count, "B").End(xlUp).Row
For Each cell In wsSis.Range("A1:IU279")
For Each checkCell In wsSheet2.Range("B2:B" & lastRowB)
If cell.Value = checkCell.Value Then
cell.Interior.Color = colorGreen
Exit For
Else
For Each suffix In suffixes
If cell.Value = checkCell.Value & suffix Then
cell.Interior.Color = colorGreen
Exit For
End If
Next suffix
End If
Next checkCell
Next cell
' Step 4: ターゲットシートで水色のセルを設定
lastRowC = wsSheet2.Cells(wsSheet2.Rows.Count, "C").End(xlUp).Row
For Each cell In wsTarget.Range("A1:IU279")
For Each checkCell In wsSheet2.Range("C2:C" & lastRowC)
If cell.Value = checkCell.Value Then
cell.Interior.Color = colorBlue
Exit For
Else
For Each suffix In suffixes
If cell.Value = checkCell.Value & suffix Then
cell.Interior.Color = colorBlue
Exit For
End If
Next suffix
End If
Next checkCell
Next cell
End Sub
これで共通テストの単語が「基本単語」「シス単単語」「その他」の3種類に分類できた。
だが「その他」には色々なイレギュラーが含まれる。
たとえばシス単単語の不規則変化feel⇒feltや、基本単語には載ってないが誰でも分かるカタカナ英語、PDFをコピペ可能に変換したときにミスでeがcとして読み取りされていた単語などがある。
なので「その他」を「基本単語」「シス単単語」「ハイレベル単語」のどれに該当するか手動で判別していった。
プログラミングも大変だったが、一番時間がかかったのがこの作業である。
かくして、すべての単語を色分けすることができた。
最後にもう一度VBAマクロのプログラムで各大問に3種類の単語がそれぞれ何個あったのかを計算した。
実際のVBAプログラミングコード
Sub CountColoredCellsBySections()
Dim wsSource As Worksheet
Dim wsResult As Worksheet
Dim rng As Range
Dim cell As Range
Dim colorYellow As Long
Dim colorRed As Long
Dim colorGreen As Long
Dim countYellow As Long
Dim countRed As Long
Dim countGreen As Long
Dim sectionCounts(1 To 6, 1 To 3) As Long
Dim currentSection As Integer
Dim rowIndex As Long
' RGB値
colorYellow = RGB(255, 235, 171) ' #FFEBAB (黄色)
colorRed = RGB(255, 0, 0) ' #FF0000 (赤)
colorGreen = RGB(0, 255, 0) ' #00FF00 (緑)
' 初期化
Set wsSource = ThisWorkbook.Sheets("シス単")
Set rng = wsSource.Range("A1:IU279")
currentSection = 1
For rowIndex = 1 To rng.Rows.Count
If Application.WorksheetFunction.CountA(rng.Rows(rowIndex)) = 0 Then
' 空白行に達したら次のセクションへ
If currentSection < 6 Then currentSection = currentSection + 1
Else
' セクション内のセルをカウント
For Each cell In rng.Rows(rowIndex).Cells
If cell.Interior.Color = colorYellow Then
sectionCounts(currentSection, 1) = sectionCounts(currentSection, 1) + 1
ElseIf cell.Interior.Color = colorRed Then
sectionCounts(currentSection, 2) = sectionCounts(currentSection, 2) + 1
ElseIf cell.Interior.Color = colorGreen Then
sectionCounts(currentSection, 3) = sectionCounts(currentSection, 3) + 1
End If
Next cell
End If
Next rowIndex
' 結果シートの作成
On Error Resume Next
Set wsResult = ThisWorkbook.Sheets("結果")
On Error GoTo 0
If wsResult Is Nothing Then
Set wsResult = ThisWorkbook.Sheets.Add
wsResult.Name = "結果"
End If
' 結果の出力
wsResult.Cells.Clear
wsResult.Range("A1").Value = "セクション"
wsResult.Range("B1").Value = "#FFEBAB (黄色)"
wsResult.Range("C1").Value = "#FF0000 (赤)"
wsResult.Range("D1").Value = "#00FF00 (緑)"
For i = 1 To 6
wsResult.Cells(i + 1, 1).Value = "大問" & i
wsResult.Cells(i + 1, 2).Value = sectionCounts(i, 1)
wsResult.Cells(i + 1, 3).Value = sectionCounts(i, 2)
wsResult.Cells(i + 1, 4).Value = sectionCounts(i, 3)
Next i
' 合計の出力
wsResult.Cells(8, 1).Value = "合計"
wsResult.Cells(8, 2).Value = Application.WorksheetFunction.Sum(wsResult.Range("B2:B7"))
wsResult.Cells(8, 3).Value = Application.WorksheetFunction.Sum(wsResult.Range("C2:C7"))
wsResult.Cells(8, 4).Value = Application.WorksheetFunction.Sum(wsResult.Range("D2:D7"))
End Sub
こうしてこのデータ解析は完了したのである。
分類の基準について
基本単語、シス単単語、ハイレベル単語の分類基準について詳細に説明する。
なぜこの3つに分けたかという話も少ししようか。
まず、今回のデータ解析の趣旨はシス単語の共通テスト出現率の調査である。
なので当然シス単掲載単語はカウントする。
だが、「シス単に載ってない単語」をひとくくりに[その他]としてしまうと、割合として多すぎる。
そもそもI,am,studyなどのカンタンすぎてシス単に載ってない語はほとんどだ。
なので、シス単レベル以下の単語とシス単レベル以上の単語に振り分けることにした。
これが、基本単語とハイレベル単語の分類の大まかな意味である。
ちなみに基本単語かつシス単の単語の場合には、シス単の単語としてカウントしている。
それでは、それぞれの分類について説明する
基本単語
基本単語は中学レベルの簡単な単語、
下画像で8割以上を占めている肌色部分のことだ。
ここには以下の3種類の単語が該当する
- 中学までに習う単語
- 文脈内で明らかに予測可能なカタカナ英語など
- 考える理解する必要のない固有名詞(人の名前や都市の名前)
中学までに習う単語
下記ページに載っている1933語を「中学英単語」としてカウント。
このサイトを選んだ理由は単語数が多かったからだ。また、Excelにコピペできるデータになっている必要もあったのでコピペできるサイトである必要もあった。
ちなみにこのサイトでは2つ以上の大きく異なる意味を持つ英単語は違う単語として紹介されているため、実際の単語数自体はもっと少ない。
たとえばfallという単語は「落ちる」という動詞の意味と、「秋」という名詞の意味がある。これらはそれぞれ1項目ずつとしてカウントされている。要するに全1933語のなかにfallという単語が2つある。
【中学基本単語としてカウントした語の一部】
handout(配布資料、プリント)
enter(入る)
popularity(人気) popularが単語登録されてるため、派生語の扱い
however(でも)
scientist(科学者)
across(横切って、向かいの)
usually(普段)
unique(ユニーク)
文脈内で明らかに予測可能なカタカナ英語など
たとえば、hockey(ホッケー)などのスポーツ名、chili peppers(チリペッパー)のような食べ物名は、文脈やカタカナ英語としての定着度の高さから容易に日本語訳が思い浮かぶものと考え、基本単語にカウントしている。
ちなみに辛いソースでお馴染みのチリペッパーは知らない受験生もいるかもしれないが、2024年共通テストではspice(スパイス)という言葉とともに文章のメインの単語として出ているため、知らなかった場合にはこの長文自体の理解ができない。よって今回は知ってる前提の基本単語とさせていただいた。
他にも「文脈内で明らかに予測可能な単語」の例をいくつか出しておく。
文脈内で明らかに予測可能な単語にカウントした例
- saltiness(塩味) 料理の話をしてるので塩のことは容易に想像できる
- spanish(スペインの)
- flamenco(フラメンコ) 踊りの話なので、容易に想像可能
- irasshai-mase(いらっしゃいませ)
- wasabi(わさび)
- demonstrations(デモンストレーション) カタカナ英語として浸透している
- personalize(個別化する) パーソナライズでなんとなく通じそう
- jungle(ジャングル)
- gold medal(金メダル)metabolism(メタボリズム)
- framework(フレームワーク)
- graph(グラフ)
- presentation(プレゼンテーション)
- cosmetics(コスメティック) 化粧品
- concert(コンサート)
- jogging(ジョギング)
- Ghost(ゴースト)
- bacteria(バクテリア)
- tournaments(トーナメント)
考える理解する必要のない固有名詞(人の名前や都市の名前)
町の名前として出てくるyentonvilleや、人名であるtakuyaなどは固有名詞として認識しておけばいい。
これらは覚える、覚えない以前に意味を理解する必要のない単語なので、基本単語としてカウントした。
基本単語としてカウントした固有名詞の例
Fairville University(大学の名前)
thorpe English language school(学校名)
Bruton Concert Hall(コンサートホールの名前)
Mr Leach(人の名前)
beautella(会社の名前)
これらの単語は時々固有名詞であると気づかず「なんだこの単語は!?」と受験生を混乱させることもある。さらに言えば、受験生の誰も知らない、単語帳にも載ってない単語であると言えば、まぁその通りである。
そのため別項目としてカウントしようかとも考えたが、項目を増やすと集計が面倒になるため今回は基本単語と考えることにした。
ただし、文脈上で重要な固有名詞や専門用語は赤色にしている。
ここはややこしいので、注意してもらいたい。
たとえば、今回のテスト文では「TRPV1」というタンパク質の名前が登場する。この単語は、あえて文章に入れ込まれた専門用語であり、文章内で意味の説明や補足がされている。
つまり、出題者からの「文章を通して意味を理解してほしい」という意志が込められた単語ということになる。
固有名詞であることには変わりないのだが、学校名や人名とは明らかに重要度が異なる単語である。よって、こういった類の単語は赤色とした。
シス単の単語
先述もしたが、ed,esなどの語尾変化は元単語としてカウントした。
そして、簡単な派生語についても元単語にカウントしている。この部分はどうしても主観による判断にはなってしまった。許してくれ。
私なりの判断基準として、「元単語を覚えてれば、この派生語の意味はなんとなく分かるやろ」と思ったらOK。逆に「元単語知ってても、ここまで形or意味が変わると推測はムリかも」と思ったら元単語にはカウントしていない。
元単語の範疇としてカウントした単語の例を以下に載せておく。
個人的には結構おおめに見たつもりである。
シス単単語にカウントした派生語の例
union ⇒ reunion
comfortable ⇒ discomfortable
prepare ⇒ preparatory
steady ⇒ steadily
oppose ⇒ opposite
interpret ⇒ interpretation
analysis ⇒ analyse
harm ⇒ harmful
suit ⇒ suitable
register ⇒ registration
arrange ⇒ rearrange
aware ⇒ awareness
compete ⇒ competition
statement ⇒ stated
status ⇒ state
locate ⇒ relocating
research ⇒ researchers
face ⇒ facial 表情の
express ⇒ expressions 表現
文)Learn how people from these cultures use facial expressions and their hands to communicate.
ハイレベル単語 – シス単に未登場の単語
基本単語でもシス単単語でもない難しい単語をハイレベル単語として分類した。
ハイレベル単語に分類されたのは141語、重複を除くと88種類の単語になる。
ただ、ひとえにハイレベル単語としてくくるのも考えものである。
なぜなら「ムズカシイけど、別に理解しなくていい」単語もあるからだ。
ムズカシイ単語のなかにも、理解が必要な単語と不要な単語がある。
理解しなくていい単語とは、問題で問われないためスルーしても得点に影響を与えるしない単語である。
これを便宜上ハイレベル単語のうち「不要」に分類するとする。
そして、理解しなければいけないハイレベル単語にもさらに2種類ある。
それは以下の2つである。
- ハイレベルだが、文脈から意味が推測できる単語
- ハイレベルだし、意味の推測も難しい単語
1つ目を「推測」、2つめを「無理」と名付けよう。
すると、ハイレベル単語は下記の3種類にさらに分類できた。
- 不要 – 理解不要単語
- 推測 – 設問に関わるが、文脈から理解できる単語
- 無理 – 設問に関わるうえに、推測が難しい単語
ハイレベル単語の全88種類をこの3つに分類したのが以下である。
不要 | 36 |
推測 | 45 |
無理 | 7 |
これは私個人の主観による分類にはなってしまうが、この分類から本当にヤバい(理解が必要なのに理解できない)単語は7種類のみと分かる。
最後にハイレベル単語に分類した単語をすべて羅列して、お別れとしよう。
分類 | 単語 | 訳 |
---|---|---|
不要 | hummus | フンムス(料理名) |
不要 | couscous | クスクス(料理名) |
不要 | arabic | アラビア語 |
不要 | proof | 証拠 |
推測 | gestures | ジェスチャー |
不要 | St. | セイントの略 |
不要 | mayor`s | 市長 |
推測 | avenue | 通り |
推測 | several | いくつかの |
不要 | open-air | 野外の |
推測 | invitation | 勧誘 |
推測 | etiquette | エチケット |
不要 | expenses | 費用 |
不要 | TravSafer | 保険会社の名前 |
推測 | authorized | 許可する |
推測 | treatment | 処理 |
推測 | reduction | 減らすこと |
不要 | rainforest | 熱帯雨林 |
不要 | learnt | learnedのイギリス英語 |
不要 | observed | 観察する |
不要 | coral | 海藻 |
不要 | gymnasium | 体育館 |
不要 | ceiling | 天井 |
推測 | constellations | 星座 |
推測 | milky | Milky Wayで天の川 |
不要 | venus | 金星 |
推測 | moonless | 月明かりのない |
不要 | weird | 奇妙な |
不要 | bugs | 虫 |
推測 | questionnaire | アンケート調査 |
推測 | interior | インテリア |
不要 | furnishings | 家具 |
不要 | addition | In additionで「加えて」 |
推測 | ownership | 所有権 |
推測 | naturalness | 自然さ |
不要 | equally | 等しく |
推測 | phrases | フレーズ |
不要 | issues | 問題 |
推測 | shelves | 棚 |
推測 | daydreamed | 日々夢見てた |
不要 | vibrated | バイブレーションする |
不要 | inseparable | 切り離せない |
推測 | serves | 提供する |
推測 | roaster | 焼く |
不要 | proudly | 誇りをもって |
推測 | make-up | メイクする |
推測 | salespeople | 営業職 |
推測 | vice-president | 副社長 |
不要 | pity | 残念 |
不要 | conversation | 会話 |
推測 | wordlessly | 無言で |
不要 | proof | 証拠 |
無理 | appreciating | 認識する、感謝する |
無理 | envious | 嫉妬して |
推測 | Perceptions | 認識 |
推測 | retrospective | 回顧的な |
不要 | attention | 注意 |
不要 | blink | まばたきする |
無理 | boredom | 退屈 |
不要 | fear | 恐れ |
不要 | creeps | 忍び寄る |
推測 | upcoming | やってくる |
推測 | boredom(2) | 退屈 |
推測 | ongoing | 現在進行形の |
不要 | biting | かむ |
不要 | sourness | 酸味 |
推測 | oil-like | 油みたいな |
推測 | capsaicin | カプサイシン(専門用語) |
推測 | fire-like | 炎みたいな |
推測 | TRPVI | – |
推測 | varieties | 種類 |
推測 | scoville | スコヴィル(専門用語) |
無理 | vaporize | 蒸発させる |
推測 | blast | 爆風 |
推測 | conducted | する |
不要 | long-term | 長い期間 |
不要 | temporarily | 段々と |
推測 | easing | ゆるくなる |
推測 | refrigerated | 冷蔵の |
推測 | cause | 引き起こす |
推測 | antibacterial | 抗菌 |
推測 | food-borne | 食品由来 |
無理 | illnesses | 病気 |
推測 | poisoning | food poisoningで食中毒 |
推測 | diarrhea | 下痢 |
推測 | numb | まひ |
無理 | preference | 好み |
無理 | unfortunately | 不運なことに |
「これは簡単にハイレベル単語じゃないだろ」とツッコミがある単語もあるだろう。私の独断と偏見で、[実際にテストの中で見たときに訳がパッと思いつくか]という観点で分類しているので、偏りは承知している。
どちらかというと、「2024共通テストで出たムズカシイ単語」を見つけるときの索引にしていただければと思う。
おまけ – 個人的に難しいと感じた表現
Glancing back to the article, she decided to call Takuya.
glanceがマイナー動詞なのに、それがing形で文頭にきている。
easing
easy(簡単な)の動詞形ease(簡単にする)の動名詞形
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