カブラギ依存症のデカダンス司令官
がっつり登場しているのは2~5、7、8、10~12話
1話と9話にも最後に一瞬だけ出てる。
ミナトはソリットクエイク社の宇宙船内で生活するアンドロイドで、デカダンス内で司令官を務めています。
司令官としてはとても優秀で、上からの指示さえあれば、周りの状況をみて最適解を見つけ出し実行することができます。
その反面、上からの指示がなかったり完全に予測不能な事態になるとあきらめることもあります。
ミナトはシステムの犬のような描かれ方をしていますが、システムへの忠誠心は特にないと思われます。
実際リミッター解除の話を聞いてないことにしたり、カブラギの素体を秘密裏に保管していたりとルールを破っていることもしばしばです。
価値観の判断は完全にシステムに依存しており、人間は見せ物の下等生物としてしか捉えていません。
崩壊後の3年経ったデカダンスでは最高管理者を務めています。
理屈で物事を捉えるが、感情で動く男
性格は合理的、といいたいところですがカブラギのことになると合理性は皆無になります。
作中では以下のようなお節介をしていました。
- カブラギにパイプの位置情報を送ってほしいと頼まれる → 最優先でやってあげる。
- カブラギが戦士職に復帰できそうになる → いち早く根回しして、ウッキウキで本人に伝えに行く。
- カブラギが矯正施設送りになる → デカダンスに復職させようと動く
- カブラギが処分される → 素体を回収し、秘密裏に保管
カブラギ愛は周りも周知の事実であり、カブラギ本人からも頼めば何でもやってくれると思われている様子です。
また、人の感情や様子には鈍感で、「察すること」はできないタイプです。共感性もなく、興味がないことにはとことん興味がありません。
そのため、他人の考え方を理屈で理解しようとします。でも感情全開で動くカブラギの考えは理解できず、しばしばケンカになっています。
ストーリー中での立ち回り
生まれた時から「役割」を与えられて生きてきたため、自分は何のために生きているかという疑問を持ったことがありませんでした。
根本的な「これが好き」「これがやりたい」というものがないタイプです。
そのため、システムによる「これをやれ」と決められる世界とは相性が良かったのでしょう。
仕事はシステムが言われたことをやっていればよく、時々カブラギが起こす面倒事に付き合ってあげることで刺激もある日々。
彼にとってはデカダンスの日常は不満の無い平和な世界でした。
ですが、カブラギがシステムを壊し「自分のやりたいことは自分で決める世界」にしようとします。
ミナトは「秩序が保たれなくなる」といい反対しました。
自分が想像できない世界になるのが怖かったのだと思います。
決断
でも、実際世界は「やりたいことは自分で決める」方向へと進んでいきました。
「自分が何をしたいか、分からないんだ。」と悩みます。
その先に、彼が選んだ答えは・・・
ミナトは「与えられた役割をやり抜くこと」を決めました。
それは、最後までデカダンスの司令官として戦うことです。
今までと違うのは「義務ではない」ということ。やれと言われたわけではないのに、自分でやることを決断したんです。
その行動に合理的な「意味」はありません。
ではなぜ、司令官として残る決断をしたのでしょうか。
理由は2だと思います。
- カブラギに必要とされたから
- 司令官という役割を最後までまっとうしたいと思った
1つ目はカブラギに必要とされたから。
そもそもミナトは人から必要とされることに喜びを覚えるタイプです。
システムはもうミナトを必要とはしていませんでした。でもカブラギにはまだ、ミナトの協力が必要でした。
迷ったすえ、自分が好きなヤツが必要としてくれていることをやろうと決めたのでしょう。
もう1つの理由は、司令官という役割を最後までまっとうしたいと思ったからです。
カブラギのデカダンス接続を助けたあと、ミナトは「司令官」としてデカダンス指令室に居続けました。
これはカブラギのサポートをしたいからだけではなく、「司令官として最後まで戦いたい」という思いがあったのではないでしょうか。
ミナトの司令官という役割はシステムから与えられた役回りであり、演技・茶番みたいなものです。
そして、システムが終了を宣言した以上、司令官をし続けることに合理的な意味はありません。
初めはシステムから言われたからやっていただけの役でしたが、気づけば「上からの命令」という理由を抜きにしてもやり抜きたいと思える役割になっていたのだと思います。
ずっとミナトが抱いていた「カブラギともう一度、一緒に戦う」という願いも叶うことになります。
私はこの11話のラストシーンが一番好きで、昔のように
「トップランカー諸君。間もなく交戦ポイントだ。今日もよろしく頼む。」と言った後、
「デカダンス、起動だ!」と叫ぶところでいつも泣きそうになります。
ミナトのストーリー上での活躍抜粋
ここからは読まなくていいです。
ミナトの全登場シーンをまとめています。会話なども必要な部分は書き出しました。
1話:
最初に現れたガドルに対しデカダンスキャノンを打つシーンで初登場。この時はただのデカダンス司令官という位置付け。ただし、カブラギが「あとは頼んだぞ、ミナト」と言っていることからカブラギと面識があることは示唆されている。
2話:
カブラギの過去回想シーンで登場。リミッター解除の話をしているトップランカーたちに対し、「プライベートモードで話してくれ」「聞かなかったことにする」という優しい対応。
ミナトはゲーム内の立場としては管理者だが、サイボーグとしての関係性はカブラギたちと対等である。イメージとしては、ドラマの役としてミナトが司令官をやり、カブラギが戦士役をやっているようなもの。そして撮影が終わった後は仲良く楽屋で話す友達みたいな関係だ。おそらく台本に忠実に活躍するほど多くの出演料(高価なオキソン燃料)をもらえる仕組みだと推測される。
5.5話(追加コンテンツ)で明かされた話だが、サイボーグたちは作られてすぐにシステムによって自動で仕事を振り分けられている。つまり、ミナトはやりたくて司令官を選んだ分けではない。あの世界では、与えられた仕事を忠実にこなすことしか求められていないのだ。
また、マイキーのリミッター解除がバレたのち、トップランカー制度が撤廃されて戦士は職を辞めさせられたが、ミナトは特にお咎めを受けた様子はなかった。
3話:
ナツメの特訓が始まった回。ハイプ(カブラギが飼っていたガドル)が行方不明になり、その位置情報を送ってほしいとカブラギから頼まれたシーンのみ登場。
「何やってんだお前は」と言いつつ、仕事中の忙しいなかでも優先して位置情報を共有するミナト。このことから、カブラギはパイプのことをミナトに話していたことがわかる。カブラギとミナトはデカダンスログイン時に直接会うことはほぼないため偶然ミナトにバレたとは考えずらく、おそらくカブラギが自発的にミナトにパイプのことを打ち明けたのだと推測される。もしそうであれば、「こいつなら言ってもシステムに報告しないだろう」という信頼があったということ。事実、ミナトはパイプの存在をシステムに黙ったままカブラギに協力している。ミナトは一見するとシステムに忠実なキャラクターだが、そこまで大きな問題でなければ他人の悪事は見過ごす傾向にある。というよりも、ルールを守っているのはシステムから処罰されないようにするためであり、システムに心から忠実な人間というわけではないのだろう。
ちなみになぜパイプの位置捕捉をミナトに頼んだかという話だが、パイプ含めガドルの位置を捕捉する探知機みたいなものが指令室にしかなかったからだと思われる。パイプは攻撃司令のプログラムがバグっているガドルではあるが「コア」は普通に存在するため、他のガドルと同じく捕捉はできるのだと思われ。
4話:
エベレストの付近に見つかったガドルの巣を攻略する回。ミナトはカブラギと宇宙船内のプライベートルームで話をする。内容は「カブラギが戦士部隊に復帰する」「次のイベントはクリア不可能」という報告。「俺はまたお前とやれるのがうれしいんだ。ま、そういうことだからイベント終わるまで大人しくしとけよ」とカブラギに言う。だが当然ミナトの話を聞くはずもなく、カブラギはキーとなるガドルを倒してしまって大問題へと発展。
このシーン、カブラギは終始思いつめたような顔をしているが、ミナトはウッキウキでカブラギのことをあまり気にしない。絶対に喜ぶだろうという思い込みのもと話している。また、「今回の作戦に参加した戦士はほぼ全滅」という内容についても「システムがユーザー受けがいいと判断したから」ということであまり気に留めていない。典型的なシステムの犬として描かれているミナトは、良し悪しの判断を完全にシステムに委ねていることが描写されている。
5話:
キーとなるガドルαを倒す。未完成の巨大ガドル・スターゲートが出現。デカダンスの戦力総出でこれを止めることになる回
ガドルαとの戦闘中にカブラギに話しかけるミナト。ここで初めてカブラギがナツメを守るために戦っている事実に気づく。ミナトにとって重要なのはカブラギだけであり、カブラギが大事にしているナツメにはなんの価値も感じていない。共感性は皆無であることが伺える。
スターゲートを引っ込めろと管理室に指示を出すが無理と言われる。やむなくデカダンスを起動することに決めるミナト。オキソン不足のため起動に時間がかかると言われる。
ミナト「全戦士に告ぐ。デカダンス準備完了までの時間を稼いでくれ。ミッションランクはSだ。」
ウロコダキさんもニッコリの判断スピードと最適解を出す能力の高さがうかがえる。今ある手札の中で瞬時に最適解を見つけ出し、分かりやすく伝えることができる。
それだけに、自分の知っている範疇でできないことがあると、あきらめたり、投げ出したりする傾向がある。だからこそ、自分の想像をいつも超えてくるカブラギのことを気に入っている。
7話:
開発中ガドルが破壊されたことで、1か月休止していたイベントが再開。デカダンスの壁に穴があくイベントが起こる。同時にカブラギが世界を破壊する決意をする回。
別素体でクソ工場からログインしたカブラギと、デカダンスの喫煙所で話すミナト
相変わらず「なぜタンカーに肩入れする、たかが人間だぞ。」という意見を変えないミナト。
「昔からお前のやることには毎回驚かされっぱなしだよ。それが、楽しくもあるんだけどな。」との発言も。
「お前は俺がなんとかしてやる」という独り言を言っていることから、「カブラギを助けることができるのは自分だけ=自分の役割」と考えていることが伺える。
ちなみにタンカーが協力して壁を塞ごうとしているのを聞いた時は、「タンカーがどうこうできる大きさではない。無駄なことを…」と言っている。
8話:
保管されているカブラギの素体を回収し、暴動の準備がととのう回
ミナトがカブラギの素体を保存していることをほぼ確信するカブラギ、ドナテロ、ターキー。周りからすればミナトの行動は予測しやすいのであろう。ジルがカマをかけるとすぐに心配になって素体の状況を確認しにいったため、素体の場所がバレる。
素体がすり替えられたことに気づき、カブラギがまた何かしようとしてると気付いたミナトは工場に話しに行く。ここでは口論になり、喧嘩別れのような形で終わる。
最後に独り言として言った「俺はただ、あの時みたいにお前と一緒に戦いたかったんだよ。それだけでよかったんだ。」というセリフがミナトのホンネだろう。
カブラギのことは好きだが、システムの方が正しい。
感情を取るか理屈を取るか、理屈(システム)側に感情(カブラギ)を連れてこようとしますが、上手くいかない。
そしてここでもナツメのことは「ただのバグ」としてとらえている。
「システムによって作られたからシステムのために生きる」という考えをもつミナトと、それ自体に疑問を持ったカブラギの会話はかみ合わない。
ミナト「(素体を奪った件について)お前の仕業だな。大人しくしてろって言ったはずだぞ。素体を奪ってどうするつもりだ。ここから出られるように手は打っていたんだぞ。」
カブラギ「これ以上システムに振り回されるのは我慢ならない。俺も、あいつも」
ミナト「あいつって?」
カブラギ「前に言ってたタンカーだ」
ミナト「おいおい、まだそんなこと言ってるのか。カブ、そいつはただのバグだ。
カブラギ「俺にとっては違う」
ミナト「いいか、俺たちはシステムによって作られている。そのシステムがバグだと判断しているんだ。」
カブラギ「ああ、俺も含めてな」言葉に詰まるミナト。「バグの俺を助けようとするのは、システムからの命令か?」
ハッとして、困った表情になるミナト。
ミナト「お前、いったいどうしちまったんだよ。」
カブラギ「工場を破壊後、システムを停止してデカダンスを終わらせる。」
ミナト「何言ってんだお前は」
カブラギ「俺たちはずっとシステムからの命令を実行して生きてきた。でもそれって、本当に生きてるっていえるのか。うらやましくなっちまったんだ。俺たちにもああやって生きる道があるのかもしれないってな。自分の頭で考えて、自分の進む道を決める。それが・・・」
ミナト「俺たちにだってできる、、、とでも?」
カブラギ「そうだ。頼むミナト、お前も協力してくれないか」
高笑いするミナト。
ミナト「馬鹿かお前は。システムをシャットダウンするだと。個々のサイボーグに好きに生きさせろって?そんなことしたら世界はめちゃくちゃになるぞ」
カブラギ「もちろん秩序は必要だ。俺が言いたいのは・・・」
ミナト「その秩序がシステムなんだろうが!!自分のことを考えてみろよ。システムに反抗して好き勝手に生きた結果がガドル工場の破壊か?それじゃあ本当のバグじゃないか。」
カブラギ「違う、俺は・・・」
ミナト「お前を止める方法なんていくらでもあるんだぞ。考え直せ。」
カブラギ「無理だ。・・・システムに報告するのか」
ミナト「して、、、ほしいのか」「俺はただ、あの時みたいにお前と一緒に戦いたかったんだよ。それだけでよかったんだ。」
10話:
ガドル工場の破壊によりデカダンスはめちゃくちゃ。混乱する世界の中、巨大ガドルが出現します。
ガドル消滅時に指示を仰がれたミナトは、「さあな、システムに聞いてくれ」と放棄します。
11話:
巨大ガドルの脅威に対し、システムはサービス終了を決定。だが諦めないカブラギはデカダンスとの接続を試る。
巨大ガドルを見たミナトは「システムにオーダーを要請しろ」という指示を出す。これは「何やればいいか指示ください。」って意味。おそらく、職権を超えるレベルの判断については上に任せる方針なのだろう。
そしてシステムから指示を受けガドルを撃破しようとするが、反撃をくらう。これを受けシステムはサービス終了を宣言、ミナトもやれることは無いと諦める。
しかし諦めないカブラギ。カブラギを止めにミナトもコアルームにいく。
「自分が何をしたいのか分からない」と語るミナトに、「俺は自分で決めることにした」と話すカブラギ。この言葉が一番響くのは、もしかしたらミナトなのかもしれない。システムの決定に従っていればよいと考える代表格だから。
最後には自分をもはや必要としない「システム」ではなく、必要としてくれる「カブラギ」を選ぶ。これで自分もバグだと語るミナトの表情はどこか嬉しそう。
そして、最後まで「デカダンスの司令官」という役割をまっとうすることに決める。
~
コアに向かうカブラギR
ミナト「カブ、待て!」「いい加減にしろ、ここを離れるぞ」
⇒ミナトもなぜかロボ(本体)で来ている。
カブラギ「逃げてどうする。その先に何があるんだ」
ミナト「立て直す方法を考える。頼むから俺の言うことを…」
カブラギ「すまない。お前と一緒にはいけない」
ミナト「戦ったところで勝機はない。無駄死にだぞ!」
カブラギ「俺にできることは、もう他にない」
⇒「(ナツメのために)できること」という意味だろう。
ミナト「あのタンカーか、人間なんかのために」
カブラギ「間違いかもしれない。けどな、きっとそれが正しいんだ」
ミナト「なんで・・・なんでそんな顔ができるんだ! 俺には分からなくなった。システムも、自分も。自分が何をしたいか、分からないんだ。」
カブラギ「分からない、か。俺も同じだった。何もすることは無く、ただスクラップを待つだけの毎日だ。だけど、バグに救われた。」「システムにとってはバグでも俺には違った。だから思ったんだ。自分で決めるって。」
ミナト「分かった」去ろうとするミナト。
カブラギ「ミナト、実はこれ一人では接続できないんだ。手伝ってくれ。」
ミナト「ウソをつくな」
カブラギ「これが失敗すれば、すべてが無に帰すのを待つしかない」
ミナト「それは、脅しか」
カブラギ「そう聞こえたなら、そう言うことだ」
ミナト「まさかお前、最初から俺をここに来させるつもりで・・・」
カブラギ「最後まで、一緒に戦ってくれないか」
驚いたあと、高笑いするミナト。
その後カブラギがデカダンスと結合するのを手伝う。ちなみに装置の仕組み上、ほんとうにミナトがいないと結合できなかった。
カブラギ「助かるよ」
ミナト「これで俺も完全にバグ認定だ」
カブラギ「感想は?」
ミナト「さあな。それにお前ほど重症じゃない」
~
カブラギ「ありがとう、ミナト”司令官”」
ミナト「ああ」
「トップランカー諸君。間もなく交戦ポイントだ。今日もよろしく頼む。」
ミナト「カブ、準備はいいか。」「デカダンス、起動だ!」
12話:
3年後のデカダンスでは最高管理者を務めているミナト。復旧の手伝いをしてくれているジルと話す。
ミナト「こっちこそ、色々頼んでしまって」
ジル「頼まれなくてもやります。バグは元々、あたしの研究対象ですから。「最高管理者はどうですか?」
ミナト「問題は山積みですが、僕にできることはそんなにないんです。新しいシステムを細かくアップデートしていくくらいですよ。その作業もあの二人に任せてますから」
ジル「あたしはご免です」
ミナト「でしょうね。にしてもよくもまぁこれだけ集めましたね。なんなんですかこれ」
ジル「いろんなサンプルデータですよ。ガドルのクソの成分表やら、オキソンリカーのレシピ、ドナテロ扱い方、etc・・・」
ミナト「これは?」
ジル「それは確か、カブラギさんをバージョンアップする時にサンプルとしてバックアップを・・・!」
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